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保存用 私が「外国人との共生から見た多文化教育」というこのテーマに興味を持った理由は
、以前、授業内で『外国人との共生』という内容の講義を受けたことが始まりだ。元々 英語に興味があった私は、やはり外国人にも興味があり、その授業で初めて、日本に在 住する外国人の生活を詳しく知り、教育について学んでいることから、在日外国人の教 育について知りたいと考えた。学校の図書館で、「多文化教育の世界」(田中圭治郎著 、ナカニシヤ出版、1996年発行)という本を見つけ、今回のテーマに決定した。 この本には、まずマイノリティという言葉が多用に出てくる。この時点で、教育を受 ける外国人が少数であることが伺え、そのための対策や現状がどうなっているのか少な からずわかってくる。 そして、マイノリティと教育という題目から始まり、次に、アメリカの話になる。マ イノリティの教育問題、つまり黒人差別による、白人との統合教育や、黒人への補償教 育についての問題である。施設面では白人用学校と黒人用学校の相違が徐々に縮まって いて、施設面での差はほとんどテスト得点に影響していない。にも関わらず、テスト得 点には白人児童と黒人児童で明らかな差が出てくる。この原因には、第一に教師の問題 があげられるという。なぜ教師が問題になるかというと、白人教師は白人の子どもや能 力のある子ども、また黒人差別撤廃のための補償教育に理解を示さないからである。こ れらを踏まえたうえで、黒人との統合教育について述べられ、統合教育は難しい現状で あることが書かれている。他にも、二言語教育の概念と実践・スペイン語系アメリカ人 に対する二言語教育などについても、概念・現状が述べられている。 次に文化的多元主義と教育・多文化教育の世界的潮流、そして多文化教育の展望、ハ ワイで実際に行われている事例について書かれている。ハワイ州政府の多文化教育、一 九七〇年前後の教育方針は、まだハワイ独自というよりはアメリカ連邦政府の教育政策 の元でのプログラムが大であったため、アメリカ本土の影響が大きかったという。しか し、一九七四−七五学校年年次報告書には、ハワイ州二言語・二文化教育プログラムが 取り上げられた。ここから、ハワイ州政府は、基本方針「従来の基礎学力の向上ならび に英語を母語としない子どもの英語教育、障害を持った子どもへの平等な学習機会の提 供(86ページ)」に基づいて、州内の諸学校のカリキュラムの中に、多文化教育がか なり取り込まれた。「絶対多数の民族がないこの州においては、各民族間に互いの文化 を尊重する雰囲気があり、かつ各民族の持っている言語と密接に結びつく前述した言語 教育政策があったからである。(87ページ)」と述べられている。 そして次に、日本における文化的多元主義−異文化理解教育の視座から−と題した第 二部には、日本の国際化・国際理解から異文化理解教育に入り、現代の日本の現状と課 題までが明記されてある。海外の日本人学校での実践は、現地理解教育、国際理解教育 さらに異文化理解教育へと深化していこうという方向を持っているという。その教育実 践が存在するひとつの理由に、グローバル教育が挙げられる。国際社会を前提に組み立 てられた国際理解教育には限界があり、グローバル教育であると、「日本的特殊性や排 他的なものからの脱却を促し、世界に通用する普遍性を追及させる(163ページ)」 と主張される。現代の国際社会では、地域社会・民族に関係なく、お互いが尊重しあえ 、理解しあえる時代になっていかなければならない。つまり、これら国際化・国際理解 ・異文化理解教育をさらに向上させていくにあたっては、相手の文化を受け入れ認め、 理解すること、そのために交流を深くすることが必要となってくる。 最後に附論として、アメリカ・カナダの環境教育について、いくつかの項目で述べら れていた。 まず私は、この本を読んで異文化理解・多文化教育の奥の深さを十分に感じた。簡単 なことではないのは、少なくとも承知していたが、これほどの実践・現状、そして課題 があるとは、はるかに私の想像を超えていた。 この中で一番興味を持ったところはやはり、アメリカのマイノリティの教育問題、白 人・黒人の共生に関する教育の内容である。この内容は少し『外国人との共生』という テーマからは離れてしまうが、差別が含まれる上に、”外国人”と同じ扱い、またはそ れ以上の扱いが問題視される。アメリカでは、白人と黒人の統合教育がうまくいってい ないことから予想されるのは、やはり他のマイノリティとの統合教育も難しいものがあ るのではないかということだと考える。 以前、朝日新聞(1/24)でも、滋賀県にあるポルトガル学校の記事を読んだのを 思い出した。日本語をしゃべれないために、公立学校には行かなくなった在日ポルトガ ル人の子どもたちが、幼稚園から中学校まで通える学園の話である。学園教諭は、ポル トガル語で授業を行いながら、日本語も教えてあげたいという思いを胸に、教育にあた っているという内容であった。私は、このような学校が増えているという現状から、や はり国際社会がどんどん進んでいっていることを感じ、さらに興味を持ち、ボランティ アでもいいので、関わっていきたいと思った。 現実問題には、このような微笑ましいことばかりではなく、本で読んだ通りいくつも 問題・課題が重なっていく一方である。しかしその中で、向上していっている日本の、 外国人との共生は間違いなく事実であり、このままさらに異なる文化を持つ、同じ人間 同士、理解しあえていけばいいなと思った。
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